「此処だ」
ガーゴイルの像が護るそこに案内されると。
化け物を見るような、蔑むような、そんな目で葉月を見るスネイプに、ズキリと心が傷んだ。
半月眼鏡の下から、覗き込まれるように合わさったブルーの瞳に、たまらなく本音を話したくなった。
──だが、そうはいかない。
葉月はその瞳から逃げるように視線を反らすと、ギュッと痛いくらいに拳を握った。
紅茶とクッキーの乗ったテーブルを挟んで、ギスギスとした不穏な空気が流れる。
「何かわしに話したい事があるのではないかな?」
そう、ゆっくりと穏やかに紡がれる言葉。
ダンブルドアは、まるで催眠術でもかけるかのように優しく、けれど揺るぎない強き意志を持って話しかけた。
ホグワーツ魔法魔術学校の食えない校長、というレッテルは伊達ではないようだ。
まるで狸か狐の化かし合いのような雰囲気に、気持ちを持っていかれそうになる。
──本当の事を話すわけにはいかない。
何度も何度も、そう心の中で叫ぶ。
葉月は自身に対して苦笑した。