「副長、やっぱり病気なんじゃないですか?」
「土方コノヤローはピンク色の病にかかってるんでィ」
「へー。随分乙女な病ですね」
「いいから仕事に戻れ!!」
「八つ当たりは見苦しいですぜー」
茶化す総悟と、俺の機嫌の変化に気付いた山崎は我先にと仕事に戻っていった。
……しかし俺の苛々は治まらねぇ。
「チッ」
軽く舌打ちをして、江戸へと見回りに行くことにした。
したつもりだった。
だが俺の予定は急遽変更。
何故なら……。
「良かった。まだ屯所にいて」
息を切らして、門の前に立つ結城。
弱冠髪も乱れていて、ドキリとする。
お互い何もしゃべらず、見詰め合うこと数分。
しばしの沈黙を破ったのは結城。
「土方さん。ちょっとだけ私の話を聞いてください」
「あ……ああ。何だ?」
何時もの明るい表情から一変して、真面目な顔。
俺は期待と恐怖に、殺り合いの時より幾分も緊張して。
万事屋の憎たらしい顔が一瞬過ぎる。
「私、色んな人に聞いて考えたんですけれど………やっぱり銀さんにします」