死を覚悟した。
だけれど。
『ガキ、生きてるか!?』
消えゆく意識の中で見たものは、太陽の光りを背負った土方副長。
一瞬本気でお迎えが来たのかと思った。
しかし、燃えた木材を退かしてくれたのも抱き上げてくれた温かい手も生きている人間の物。
生きている手は呆然としている私の頭を優しく撫でて、真っ直ぐな瞳は私を写して……。
『良く頑張ったな』
と、告げた。
そう、私はあの真っ直ぐで強い瞳に助けられたのだ。
土方副長だと知るのはもう少し後で、その時は、黒い服と真っ直ぐな瞳しか印象に残らなかった。
だから、助けてくれた真選組に恩返しがしたくて、助けてもらった命を預けた。
誰でもない、土方十四郎に。
「おい、総悟、何サボってんだ!?結城、お前もだ!!」
突然の声に身体がビクリと跳ね上がる。
意識を過去から戻せば土方副長が相変わらずの瞳孔開き気味で、こちらに向かって歩いて来た。
「相変わらずウルサイねェ。そんなに叫ばなくても聞こえてまさァ」