「葉月さんというのですか。素敵なお名前ですね。私は赤屍といいます」


「あ、あか……赤屍さ、ん?」


「はい。よろしければこの後、食事でもいかがですか?」


ニコリ。
と、赤屍が微笑めばこれ以上ないくらいに身体を震わせて。


「え、あの、ひ、暇では……」


その赤屍が、先程よりも熱の篭った熱い視線を葉月に浴びせているのも事実だった。
しかし、そんなことにも気付かず、恐怖の対象でしかない相手に必死に震えながら答える姿は、蛮と銀次から見ても子羊に見える。
──赤屍に献上されるであろう、だ。


「蛮ちゃん、このままじゃ葉月ちゃんが危ないよ!」


「分かってる!!」


先程までの戦闘状態のかけらもない雰囲気だが、代わりに違う緊張感が走っていた。
が、赤屍のメスは未だ葉月の首元にある。


助けたくともそれが叶わない苛立ちに、二人はただ苦虫を噛み、先を見守ることしか出来ない。


「あぁ。勿論、この服では行きませんので安心してください」


──安心出来るわけがない!!



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