それに。
「じゃあ何でハロウィンしないって教えてくれなかったの?」
「お前が聞かなかったからだろう」
バッサリである。
「でもさ……」
「大体、」
ハヅキの言葉を半場無理矢理遮ったユーリは、本に戻そうとした紅い瞳を戻し、普段あまり見ない冷たい瞳で彼女を見詰めた。
「大体、我々にハロウィンをしろと言うこと自体、礼儀に反しているとは思わないのか?」
取り付く島もないユーリの態度に、見兼ねて助け船を出したのはアッシュだった。
「ユーリ、なにもそこまで言わなくてもいいじゃないっスか。ハヅキも……今から豪華な料理は間に合わないっスけど、ハヅキがくり抜いてくれたカボチャで作ったケーキはあるんスから、オレ達だけでパーティーすればいいっスよ」
若干オロオロとしながらも、二人の間を取り繕おうと必死な姿にハヅキは心打たれた。
しかし、ハロウィン自体に相変わらず興味のなさそうなユーリとスマイルの態度に、何故だか納得出来ず、微笑するしか出来ない。
「ありがとう、アッシュ。でもやっぱりせめて今いる四人でやりたいよ」