「持ってきたぞ!とっとと飲め!!」
ドカッと割れるくらい強く机に叩き付けられたゴブレットの中身を、ルーピンは少し含み笑いをしながら飲み干す。
「苦いな。やっぱりもう少し甘く──」
「文句を言うな!次、同じ事をしたらその倍以上苦い物を作ってやる!!」
スネイプはそう宣言すると、一瞬でもこの場にいたくないらしく、とっととハヅキとゴブレットを持って教室を後にした。
嵐のようなその行動にルーピンはクスクス笑い、そしてチョコレートを口に一つ含むと、ふと、大切なことを思い出した。
──ハヅキ、明日は授業欠席かな?
ルーピンの予想は当たっていた。
その夜、地下牢教室の奥の部屋では一晩中甘い声が響きっぱなしで。
翌々日の授業後、全授業を欠席したハヅキがまたもルーピンの部屋で愚痴を零したのだから。
ところで。
ルーピンが耳打ちをしたのは何も誰にも聞こえないように話したかったから、だけではない。
何時も同じ時間に薬を届けに来るスネイプが丁度扉を開けた瞬間、まるで恋人に甘い言葉を囁いているように、身体を近付け囁くルーピン。
何も知らないスネイプと目が合った瞬間、彼はスネイプにニヤリと笑ってみせたのだ。