僕はもうハヅキから目を反らせない。
逃げられない。
「いい加減落ちて?」
ヒラリと羊皮紙が舞った。
“貴方が好きです”と書かれた。
「クスッ」
それは今でこそ懐かしいといえる思い出。
何で今更思い出したんだろう。
「何よ、リーマス?」
僕は思い出し笑い、何て言えなくて、変わりに小さな疑問を声に出した。
「いや、あの時、何であんなに自信があったのかなって思って」
「あぁ、“襲われない”ってヤツ?」
「うん、そう」
ハヅキは自慢げに答える。
「あんなのただのハッタリよ。でも効果的だったでしょ?私、もしかしたらレイブンクローじゃなくてスリザリンじゃないかって、たまに思うの」
「いや、ハヅキは紛れも無くレイブンクロー生だよ」
「あら、どうして?」
僕はまた笑ってハヅキのおでこに口付けた。
「“襲う”っていう、もう一つの意味まで読み取れなかったから」
顔を赤くして「馬鹿」と言うハヅキに僕はまた笑ってしまった。僕の負け(でも、結局僕の勝ち)