ハヅキの言いたいことは分かる。
僕は紙の中に書いてあるであろう問題をとうに理解していたし、その答えも……出ていたんだから。
でも。
「ハヅキ。あの、答えなんだけれど……」
「何?やっと分かったの?それともやっと“教えてくれる”の?」
ずいと間を詰められ反射的に足が一歩下がる。
全てを見通すかのような強い瞳で見られれば、本当に何か僕が悪い事をした犯人みたいな気持ちになった。
「ねぇ、リーマス。私、貴方がもっと早くに答えが出ていたことくらい、知ってるのよ?」
ドクリと心臓が高鳴った。
下手に慌ててどうする?
答えは出ているんだ。
僕は可能な限り何でもないかのような振りをした。
「そっか。悪い事したね?ゴメン」
「それは“答え”?」
「え!?違うよ!あ、でも答えも同じだけれど……」
僕は何故か罪悪感に駆られて段々ハヅキを見ていられなくなる。
その僕の顔を、ハヅキは持ち上げて、瞳を反らさないように固定した。