「セブ?大丈夫?」
『……ス!!』
頭が、痛い。
「もう、また睡眠不足?」
『……ブ……ス!?』
誰かが僕の名前を呼んでいる。
ユウキの声と重なって上手く聞き取れない。
「それともランチを逃したの?」
『セブ……ス!?』
誰だ?
「ねぇ、私の声、聞こえてる?」
『…………ッ!!』
一瞬、不意に目の前のユウキが笑った気がした。
声が、重なる。
「セブルス!!」
『セブルス!!』
「セブルス見付けた!!」
“我輩”は自身でも驚くほど、ビクリと身体を震わせ、意識を取り戻した。
まるでデジャ・ヴュのような自身の反応に頭が上手く付いて行かず、重い身体を必死に起こすと、目の前で起こっている出来事を整理しようと、目線を上げる。
途端、視界に広がったのは黒真珠のような真っ直ぐな瞳。
「良かった。まだ意識はあるのね?」
何故此処にいるのか。
何故彼女なのか。
疑問が頭を掠める中、心は何故か安堵に包まれていく。
この声に呼ばれていたんだと、誰かが頭の中で囁いた。
「……五月蝿い。少し静かにしろ」