赤く栄える美しい髪の毛。
強く優しく輝くエメラルド色の瞳。
極上の笑顔で話しかけてくる幼なじみ。
ずっと想い続けていた、愛しい愛しい……いと、し…い……。
「ーーーーッ!!」
声が、聞こえた気がした。
「セブ見っけ!!」
“僕”は自身でも驚くほど、ビクリと身体を震わせ、意識を取り戻した。
身体が汗をかいたようで、制服が少し湿って張り付いている。
ホッと息をつき、背中にある木の幹に身体を預けると、長い前髪をかき上げ、現状を把握しようと周りを見渡した。
後ろには何時作られたのか分からない程の古城が建っている。
午後の柔らかい陽射しに包まれた魔法の学び屋からは、生徒達の明るい声が響いていた。
「セブ?どうかしたの?」
僕を呼ぶ、可笑しいくらい明るい声。
その声の主が、想いを寄せる相手ではないことは痛い程承知なのに。
心の何処かで安堵した。
「何でもない。それより僕の名前を勝手に省略するな」
何故か焦りを隠したくて、つっけんどんに接する。
その僕の反応に慣れているのか、声の主──ユウキは、クスリと笑うと許可もなく隣に腰を下ろした。