ドクン。
心臓が痛いくらいに跳ねた。
動揺が伝わらないよう、極力努力をする。
だが。
そんなことを知らない結城は真っ赤な顔で、俺に一冊のノートを突き出した。
ピンクのハート柄。
え……何コレ。
まさかこの中身でも見てみろということか?
しかし、事実は想像を越えたものだった。
「土方十四郎さん、交換日記からお願いします!!」
「はぁ?」
何かが壊れた瞬間だった。
「で、結局、沖田隊長の意見より」
「旦那の意見を採用したってわけでさァ」
一部始終を屯所の影から見ていた二人。
その顔からは笑いしか取れない。
「しかし、大変ですね。今時交換日記って」
「結局両思いなんでィ、これくらいの意地悪は大目に見てほしいねェ」
「ま、近い未来まで楽しませてもらいましょうか」
「そうでさァ」
クスクスと遠慮なく笑うこの二人によって、初々しさ満天のラブラブ日記が屯所内に流出するのも……また近い未来であった。
そんなことも知らず、土方は今日もせっせと日記を書く。