フィニの問い掛けに、意味ありげにニヤニヤと答えたアンダーテイカーの言葉を聞いて、一同は慌てて棺の埋まる土へと手を伸ばした。


葉月はただ、呆然としてしまう。
墓に付けられたベルは風が吹いたとしても、決して鳴りはしない。
はず、なのだ。


その異様な現状と、セバスチャンが生きているかもしれないという期待と、二つの奇妙な感情に心臓が高鳴る。
痛い程に。


間もなく、掘り出された棺からは、信じられないことに「やれやれ、やっと出られましたね」と、のんびりとした声とその主が姿を現した。
……生きた、ままで。


途端、その空間は一瞬で悲しみから幸せに彩られた。
奇跡としか言えない生還に。
















こうしてシエルとセバスチャン、アンダーテイカーの陳腐な三文芝居は幕を閉じる。
勿論、それが芝居だと知る者は他にはいない。


それに、例え知ったとしてもそれを口外する者はいないだろう。
その必要はないのだから。



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