その言葉をきっかけに今まで小さな身体に溜めてきた思いが溢れ出す。
青年の黒い服にギュッとしがみつき、火が付いたように泣き出した少女を、青年は片手で背中を優しく摩り、もう片方の手で少女の腰を引き寄せ、優しく抱きしめた。


「パパとママを天使様が神様の所に連れて行っちゃったの!寂しくて……でも“運命”だから我儘を言っちゃダメなの!!」


青年は再度、少女をしっかりと抱きしめ、その言葉に口角を上げたことを隠す。
陽をたっぷり浴びていた少女は暖かく、独特の太陽の匂いがした。


「そうだったのですか。……それは随分と冷たい天使ですね」


青年の“天使”という所に妙な引っ掛かりを覚える。
不安になって少し身体を離し青年の顔を見上げれば、黒い髪と服に映える紅茶色の二つの瞳が自身を捕らえていた。


そして、涙の後を辿るように白手に包まれた指を這わせ、手で頬を包み込むと、少女の身体がビクンと震える。
その可愛らしい反応に再び少女を抱きしめ、甘く甘く囁いた。


「貴女のお名前は?」



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