何処から出て来たのか、シエルはそう呟くと葉月が座っていた椅子に腰掛けた。
セバスチャンも再度椅子に腰掛ると、その黒い笑みを隠さずにシエルへと向ける。


家庭教師である葉月が、花言葉を知っているのは当然の事。
それを見越した上でのハーブティーだ。
今日のハーブはタイム。
その花言葉は“勇気”と“行動力”で。


つまりセバスチャンは暗に“貴女の行動力と勇気を知っていますよ”と紅茶で示してみせたのだった。
その結果は一目瞭然。


「あの……馬鹿が」


セバスチャンの快感と欲望に満ちた瞳を見て、シエルは自らの家庭教師の行く末が純粋に心配になった。


溜息を零せば、風が靡き、ハーブティーの香りが辺りを包み込む。


タイムの、その爽やかな香りが。





タイム
(この雰囲気に似合わない程の香りを漂わせて)

「万華鏡」様企画 「花言葉」参加作品




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