すると、セバスチャンの口元がニヤリと美しく孤を描いて。
「何か私に言いたい事があったのでしょう?」
ビクリと身体を震わせ、驚きに瞳をぱちくりとさせる葉月。
全てを見透かした紅茶色の瞳は相変わらず悪戯っぽく輝き。
「本日のハーブは“タイム”なのですよ」
それを聞いた葉月は、顔をこれでもかというほど赤くして、ガタンと音を鳴らして立ち上がった。
しかし、セバスチャンは葉月の片手をすかさず掴み、その場から逃げられないようにする。
そして、美貌の顔を彼女に近付け、片手で顎を持ち上げると、これでもかというほどに色気を含んだ声で葉月に問い掛けた。
「何を言いたかったのですか?」
瞬間、全てを悟られていた恥ずかしさに、葉月は腕を力一杯引っ張ると、後ろも見ずにセバスチャンを振り切って、屋敷へと走り去った。
「……悪趣味だな」