葉月は今日、覚悟を決めた事を早くも後悔し始めた。
何を隠そう、今日のお茶会を提案したのは葉月だった。
密に想いを寄せる相手に、今日こそその想いのたけを告白しようと意気込んだ……までは良かった。
良かったのだが、いざその相手を目の前にすれば、人間(本当は人間ではないが)爆弾とも言えるくらいの色気に飲み込まれてしまい、顔を赤く染める事しか出来ない。
「本日の紅茶はハーブティーでございます」
そんな葉月の心情を知ってか知らずか、セバスチャンは優しく会話の糸口を提案する。
「そ、そうですか」
何とか緊張を解そうと、カップを手に取り、香りを楽しもうとする。
ハーブティーにはその匂いで心を落ち着かせる効果があるのだ。
爽やかな匂いが鼻孔を掠めた。
透き通る綺麗な紅茶は見るだけで癒しを与える。
一口飲めば、意外にも優しい味に心が少し軽くなった。
だが、ふと落ちついてこのハーブティーのベースであるハーブを想像してみると、葉月の顔に微かな戸惑いが生まれる。
「これって」と呟き、嫌な予感がして目の前の想い人を恐る恐る見上げた。