二人の対比はあからさまだった。
無言の空気に先手を打ったのはセバスチャン。
テーブル上に、事前に用意されていた、白い丸みを帯びたティーポットと、セットのレースをあしらったティーカップ。
そしてそれを受けるソーサーとスプーンまでも綺麗に磨かれている。
ポットからは湯気がたち、ジャストタイミングを見計らったかのように、ポットを右手で持ち上げると、遥か下で左手に持ったティーカップへと中身を流し込んだ。
セバスチャンのあまりにも優雅で、あまりにも絵に成りすぎる動作に、葉月はただ目を追うことしか出来ない。
「冷めない内に……」
目の前に置かれた紅茶に思わずドクリと心臓を鳴らす。
意外に近い、耳元で囁かれた声よりも、悪戯っぽく輝く紅茶色の瞳に全神経を奪われた。
「あ、ありがとうございます」
葉月のその言葉を聞くと、ニコリと笑い、丁度対面にある椅子へセバスチャンは腰を下ろした。
座る際に屈んで見えた、伏せた瞳の長い睫毛。
長い足を組めば、どこかのモデルにしか見えない。