何時からこんなに、可笑しくなったのだろう。


何時もの血盟城の廊下。
不意に香った何時もと違う匂い。
けれどそれだけで、君が帰還したことが分かってしまった。


簡単に跳ねる脈拍に、馬鹿らしいが気持ちが温かくなっていく。
何十年ぶりかに再会し、蟠りの解けた部下、いや仲間にこんな感情を持つことになるとは、多分誰も予想がつかなかっただろう。
恋、なんていう甘酸っぱい想いなんて。


ガチャリと控えめに扉が開く音がする。
グウェンダルの執務室であろうその場所に目を向ければ、朱色の髪の想い人が足音一つたてずに出て来た。


“リーヴェ!”そう言葉が発されるはずだった口が一瞬で止まり息だけが漏れる。


何故なら彼女の直ぐ後に、よく見知った幼なじみがいたから。


二人で何かを話している。
お互い笑顔であることから仕事の内容ではないことは歴然としていた。
仲の良い恋人同士のように、小声で話すリーヴェの口元にヨザックが耳を傾けていて。
その至近距離と今までに見たことのない仕種に、身体の中で暗いモノが生まれたのを嫌でも理解してしまう。


──嫉妬、とはね。



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