「……お取り込み中、申し訳ない。が、親睦を深めるのにユーリの部屋は勧められないな」


「なん、で……」


「キャッチボールする服を、ね」


コンラッドの指の先。
多分スポーツ専用であろうジャージがクローゼットに掛かっていた。


気持ちを落ち着かせたのか、深い溜息を一つつくと、ゆっくりとその大きな身体をテーブルから降ろす、ヨザック。
それを確認すると、コンラッドはさらりと有利君のジャージを持って部屋を出た。
擦れ違う際にニヤリと笑ったのは見間違いではないだろう。


“男を甘く見るな”なんていう古典的な意見は聞かない。
ヨザックの決意さえあれば、私は何時だって。


──何時だって“ハジメテ”をあげられるのに。


ヨザックが知るであろう打算的な私は、本当はただの怖がりな女で。
雰囲気に流されたいと思っていて。
全てを奪われたいというヒロイックな考えだと、彼は何時気付くだろうか。


割れたティーセットを無表情で見詰める彼との間は、当分埋まることはない。





Neid
(青の瞳が何を見ているのか)
(知らないふりをした)




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