じわじわと落とそうとするその言い回しと、思考など直ぐに察せれて。
だからいたぶりたくなるのだ、この男を。


「なら、ヨザックもして。私の過去のオトコに」


予想出来る筈の返事に、ヨザックはひどく驚いた。
え、なんて聞く時間もなく、立ち上がったヨザックにテーブルに押し倒される。


ガシャンとけたたましい音をたてて食器が落ちたが、多分彼は気付いていない。


「……ヨザック?」と不思議に思って発した声がやけに静かな部屋に響いた。


「ハヅキ、今、十六歳だよな?」


「そう、だけど……………ヨザックだって百歳くらいでしょ?」


何を今更。
そう言おうとして、止めた。
彼にしては珍しく、怒りとか悲しみとかそんな雰囲気ではなくて、苦虫を噛んだような複雑な表情をしていたから。


抑えられている手首に力が入ったのを感じる。
痛い、とは決して伝えない。


「……何人だ?」


絞り出された声に思わず身震いした。
あまり聞かない、低い声。
グリ江ちゃんではなく、グリエ・ヨザックという男の声だ。


「ヨザックこそ、何人なの?」


「オレは大雑把に見ても百歳だぞ!?それなりに……」



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