つまり。
コンラートとヨザックの勘が外れていなければ、葉月は彼女達に嫉妬したのである。
「姫さん、それは──」
「誤解です」と続く言葉を言おうと少し葉月に顔を近付けた所で、ヨザックの言葉は続かなかった。
パンッ!と良い音がしたから。
一瞬、一生続くのではないかという静寂が空気を凍らせた。
しばらくすると、ここにいる全員の頭に衝撃が走る。
──今、何した!?
「好い気味」
ふっと葉月は息を吐くと、誰も何も発さないうちに、会議室を後にした。
物凄く楽しそうに、満面の笑みを浮かべて。
「え?ええぇぇー!?」
後から聞こえたのは有利の絶叫。
多分、赤くなった左頬を押さえたヨザックの、必死に頭を回転させる姿を見て。Heiratsantrag(突然過ぎるターニングポイント)