随分庶民派のお姫様は柔軟で、簡単に落とせそうに、のほほんとしている。
スカートのまま平気で地面に腰を下ろす所も、そこらのプライドの高いお嬢様より幾分も魅力的だ。


だが、その雰囲気とは裏腹に意外に強い意思を持ち合わせているのは、流石魔王陛下の姉といったところ。
やると言ったらやる、のである。


隣に座る事さえ、本来許されない土地で。
簡単に軍人に近付いてくる葉月。


ヨザックでさえ軽々しく触れる事などないのに、躊躇いなく手を触れて。
互いの小指を絡ませる。
彼の知らない異国の約束をするのだ。


「これね、指切りげんまんって言うの。約束破ったら針千本飲まなきゃいけないんだよ」


「随分ヤバいお仕置きですねぇ」


「ちゃんとヨザックが乗馬を教えてくれて、最初のお忍び相手になってくれれば大丈夫だよ」


──何時、そんな約束したっけなぁ?
と、何とか落ち着こうと冷静を装う。
けれど、直接的な誘い文句に口元はにやけが抑えれない。


──また、一緒に出掛ける要素が増えた。また、姫さんと二人で会えるんだ。
その優越感に浸る。



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