甘えがなくなった意志に従って、足はきちんと身体を支えた。
立ち上がり、彼の横を躊躇いなく通り過ぎる。
「……“陛下”が待っているので行きます。さよなら、大シマロンの方」
今度こそ、足を止めずに部屋を後にした。
手から零れ落ちていく、幸せ。
好き、よ。
大好き。
離れたくなどないほどに。
けれど貴方に着いて行く度胸なんてあるはずがない。
眞魔国の、ゆーちゃんのためだって言いたかったんだよね?
きちんと気付いていたよ。
貴方が大シマロンに仕えた理由。
貴方が伝えたかった事。
だから、もう迷わないよ。
もう疑わないよ。
──コンラッドは大シマロンの魔族だ。
神様なんて人が本当にいるなら
どうして教えてくれないんだろう
私達が歩む最善の道を
どうして照らしてくれないんだろう
こんなに胸が張り裂けそうなのに震えながら(どうか気付かないで)
振り払う手
(連れ去って欲しいという意志を)
お題拝借:SNSサイト より