突然の事に驚き戸惑って。
突き放そうとギュッと彼のジャケットを握る。
けれど、そう簡単に希望を聞き入れてくれる相手ではない。


「ん……っ」


苦しくなるくらい、激しいキス。
息を吸おうと開けた口に容赦なく入り込まれるコンラッドの舌。
くちゅっと卑しい音が鳴り、飲み込みきれない唾液が口から垂れた。


かくんと足の力が抜けきった所で、やっと満足したのか。
ぺろりと唇を嘗めてようやく解放される。


崩れ落ちないよう、ゆっくりと床に座らせられ、彼も視線を合わせてしゃがみ込んだ。


「っはぁ……コンッ…ラ?」


「会いたかった」


「え?」


「ハヅキに、会えて嬉しい」


──何で泣きそうなの?


困惑した。
ゆーちゃんから一部始終とはいえ今起こっている事件を聞いていて。
コンラッドがギュンターと剣を交えた事。
眞魔国を離れた事。
そして──


ゆーちゃんではない“陛下”に仕えている事。


コンラッドに真実を聞きたくて無理して参加したダンスパーティー。
納得出来る理由が欲しくて。
眞魔国を離れる理由、陛下がゆーちゃんではいけない理由、そして。
相談もしてくれなかった理由を。



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