それでも行き交う人々に、私の日本人らしい小さめな身長は飲み込まれてしまい。
半場諦めて無意識に足が窓際の壁に向かう。
壁を背にひやりと感じた所で、突然視界が闇に染まった。
首に何か痛みを感じた瞬間。
声が出るより、ゆーちゃんに手を伸ばすより先に意識も闇に落ちた。
「コンラッド」
よく知った声が、耳に聞こえる。
期待を含んだ声だ。
「来いよ」
痛いほどの静寂。
何かが擦れる音がして、直ぐに──
「……いいえ」
否定の言葉が紡がれた。
そこで私はぱちりと目を開けた。
ぼんやりとする視界。
茶色の棚に大量の本。
グッと力を入れて床に投げ出されていた身体を起こす。
きょろきょろと辺りを見渡して、初めて此処が知らぬ部屋だと気付いた。
力の入らない足を、それでもなんとかして立ち上がらせて。
声のした方へと歩みを進める。
私の耳に間違いがなければ、ゆーちゃんとコンラッドの声のはずだから。
そしてそれは間違っていなかった。
ただ、そこにいたのはコンラッドだけだったけれど。