反対側の廊下から、少し焦り気味の探し人が現れた。
何時もの調子、執務から逃げ出した有利を探している時のような彼。
眉をハの字にして、今にもお小言が始まりそうだ。


だから有利はコンラートが何かを言う前に、グッとその腕を掴んで逃がさないようにする。
彼は少し驚いたようだったが、有利のすることと納得して、大人しく捕まれたままにした。


「ずっと探してたんだ」


「俺を?」


「うん。葉月から頼まれて……な、葉月!」


有利の言葉を聞いて、パッと廊下の影から現れた少女。
脇目もくれず、ギュッとコンラートに抱き着く。


有利も今日初めて見た姉の姿と、真っ赤で幸せそうな顔に、思わず笑みが零れた。


「会いたかった、コンラッド」


何時もは見せない、少し大胆な仕草や発言。
驚いたのはコンラートも同じで。
その、今日初めて見た互いの姿に多分コンラートも安心したのだろう。


そんな名付け親の内心を、何となく有利は感じ取って、その場を離れた。


「すれ違ってばかりだったからね。ヨザックやグウェンダルに聞いたよ。可愛い」



TOP


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -