『宮田さん、宮田さん』 「なんですか?」 ちょうど時計が十二時半を指す頃、医院では昼休みとなっており、宮田と名字は食堂に来ていた。 『いやあ、宮田さんは食べる時も無表情なんだなあって思ったんですよ。』 名字は、皿の上のハンバーグを突きながら言った。 「そうですか。」 『あ、あと私に「頑張ってください」って言った時も、無表情でした。応援する人の顔じゃなかったですよ!』 マラソンランナーもびっくりです! と続けていう名字。 周りで食べていた人達も、宮田と名字を凝視していた。 理由はあの宮田に入ってきたばかりの人間があれこれいってるからだ。 『周りの人も、私達を見てますよ!やっぱり皆もそう思ってたんですよね!ね!』 それから名字のマシンガントークは続けられ、宮田は段々と苛立ちが募っていった。 その雰囲気を察した周りの人はそそくさと食堂を後にした。 『あれ、宮田さん怒ってる?怒ってる?』 煩わしく聞く名字。 宮田は、残りの味噌汁を飲み干すと名字を睨みつけた。 だがこの女には効果がなく、ヘラヘラとだらしなく笑う 「もうすぐ診療も始まります。あなたも仕事場に戻って下さい。」
『あっ、はいそうですね!また一緒に食べましょう!』 そう言って名字は食事を再開し、宮田は食堂を出ていった。 眉をしかめながら、どこか不機嫌そうに
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