「名無し、そんな所で寝ていたら風邪引きますよ」
そう言うとウイングは、机にうつ伏せで寝ていた名無しに毛布を彼女の肩に掛けた。
『あっ・・・ごめん寝ちゃった』
名無しは自嘲気味に笑うと、広げていた本にブックマーカーをつけて閉じる。
「この本に没頭してたんですか?」
『久しぶりに読んだら止まらなくなって・・・結構おもしろかったよ』
ウイングは入れたてのコーヒーを名無しに渡した。彼女は軽くお礼を言い、コーヒーを啜った。
『美味しい』
「インスタントですよ」
『それでも美味しい!人が淹れたコーヒーって、絶妙に感じる』
彼女はそう言い、ウイングに優しく微笑んだ。彼も名無しにつられて笑う。
名無しは笑顔のウイングを見ると、なんだかこそばゆい気分になり、顔を紅く染めた。
「名無し、どうしました?」
『な、なんでもない』
「顔が赤いですね。熱でもありますか」
ウイングは彼女のおでこに手をつけ、顔を近づける。彼の行動に驚いた名無しは、顔がさっきより赤くなった。そんなの御構い無しにウイングは名無しを見つめる。
『ウイング、顔近い』
「知ってます」
ウイングはそのまま顔を近づけ、名無しとキスをした。彼女の口内に舌をいれ、優しく気づかうように舌を絡めた。それに名無しも応える。
彼女の息が荒くなった所で、ウイングは名無しから名残惜しそうに離れた。
「名無し、愛してます」
ウイングは彼女の瞳を見つめて言った。彼の顔は穏やかで、とても綺麗だった。
『私だって、愛してます!』
名無しは息を整えながら、応えた。
ウイングはそれに満足し、彼女を抱き寄せこれから起こる情事を考えると胸が高鳴って仕方がなかった