気分が悪い、今にも吐きそうだ。
私はハンター協会に呼び出されここに来ていた。なぜなら、次のハンター試験の試験管に選ばれたからだ。
報告だけだろうと思ってたのに、会長の命令によって宴に出席させられた。
どいつもこいつも顔を真っ赤にして、楽しそうだが、私は下戸なので、今でも逆流しそうになるものを必死で抑えてる。
『うっげ・・・』
「おい名無し、だいじょーぶか?」
『少しトイレ行ってくる』
もう限界だった私は、トイレにいき便器にソレをぶちまける。胃酸のしょっぱさに顔を歪めるが、少し気が楽になった気がしてホッとした。
『はぁはぁ・・・』
胃の中を空にして楽になった名無しは、宴の広場に出ようと思いトイレを出た。そこには、眼鏡をかけシャツを半分だしただらし無いのない同僚がいた。
『ウイングじゃん、久しぶり』
名無しはウイングと共に修行を学んで来た仲だった。
「名無し、大丈夫ですか?さっきあなたがトイレに駆け込んだ所を聞いたのでかけ付きましたが」
『私下戸だから。すぐリバースしちゃうの』
「あんまり、無理しないでください」
心配そうに言うウイング。
昔から変わってないなあなんて思ってたら、また込み上がってくる吐き気におそわれた。
『ごめっ・・・吐きそう・・』
「え?!大変だ、すぐにトイレにいきましょう」
名無しは我慢出来ずにその場で吐いてしまった。ウイングは気にせずに便器に名無しを運ぶ。
『ごめっ・・・シャツが』
「大丈夫です。それより、あなたの方が心配だ」
優しく背中を名無しをゆするウイング。
「落ち着きましたか?」
『だいぶよくなった』
「お水持って来ます。少し待っててくださいね」
ウイングは名無しの為に、水を取りに行った。
自動販売機から水を買い、名無しに渡して飲ませる。
『ありがとう』
「気にしないでください」
『シャツ・・・弁償しなきゃ・・』
「平気ですよ。このくらい」
『胃液は取れないよ。弁償する』
「大丈夫ですって」
『駄目だよ!そのシャツ高い・・うげっ』
「何枚か家にあるので十分です、もう宴はやめにして帰りましょうか。送っていきますよ、名無し。」
私はウイングの優しさにとことん敵わないんだって実感した。
だから今度、シャツを口実にしてデートしてやろうと名無しは意気込んだ