『ウイングさん、私は強くなれません。』
「最初から強い者などいない。修業に励みなさい。」
『違うんです。私は、圧倒的に才能がない。』
名無しは、拳に力をいれる。体は小刻みに震え、目には涙を浮かべた。
『ウイングさんの言うとおりだと思うんです。きっと修業を積めば、強くなれる。だから私は自分なりに頑張ってきた。でも、圧倒的に才能の差を見せられると・・・』
自分の頬に冷たいモノがつたう感覚がした。そうか、私泣いてるんだ。
『悔しい。悔しい悔しい。私が努力して修得しても、ゴンくんやキルアくんはすぐに修得してしまう。』
「生まれ持っての天性の差は、仕方がない事だ。」
『はい。』
「だが、必ず勝敗を決めるのは経験の差と運だ。私は、お前が努力を惜しまない限り、鍛える。そして必ず強くする。だから、自分のペースで考えなさい。」
『・・・はい。』
「今日はもう修業をやめにしようか。ズシを呼んで、食べにでも行こう。」
『師範代、』
「なんだ?」
『私、頑張ります。今は、辛いけど、乗り越えて強くなります。』
「よろしい。さあ、行こうか!」
『はい!ウイングさん、ありがとう!』