俺は久しぶりに名無しに会いに行くため、仕度を済ませてあいつの家に向かった。
最近会えなかったのは、あいつと喧嘩をしたからだ。理由は、俺がクラブのねえちゃんと町で抱きついてキスをした所を見られたから。勝手にあの女がした事なのにとんだとばっちりを受けた。
俺はすぐに誤解を解こうとしたが、ケバ女が名無しを見た途端、見下した様にあいつに罵声を浴びせて俺の腕に絡んできた。
それから、あいつは顔も合わせないし電話もとろうともしない。
一ヶ月ぐらいたってどうしようかと悩んでたら、あいつから電話がかかってきた。で、今に至るわけだ。
アパートの客用の駐車場に車を停め名無しの部屋に向かった。
302号室と書かれた部屋の前に立ち、インターフォンを鳴らした。
一回、二回、…出ない。
おかしいと思い、ドアノブをひねると鍵はかかってなかった。
もう夜は遅いのに鍵も掛けてない名無しに怒りを感じ、俺は部屋の中に入った。
リビングを見るといないので、寝室をみると名無しはベッドで寝ていた。
あいつの回りには、ビールの空き缶が何本か転がり落ちてる。
「おい、名無し。来たぞ」
声をかけると、名無しはまぶしそうに瞬きをした。
『和也さん、いらっしゃい。』
寝起きの声で応える名無し。
「この前はごめんな。あの女とは全然関係ねぇから」
『わかってますよぉ〜。私も悪いんです。』
「いや、お前は悪くないって」
『だって私に魅力がないから、和也さんクラブの女の人と遊ぶんでしょ。』
まさか名無しに思ってもない事を言われた和也は、あっけにとられ何も言えなかった。それを見た名無しは肯定ととったのかぐちぐちと言いだした。
『私はスタイルもよくないし、顔だって酷いです。本当はそんな女と付き合うのだって嫌なはずです。』
「違うって!そんな事思ってねえよ!」
『ならなんでシてくれないんですか!和也さんとはキスはしましたけど、それ以上の事はしないじゃない!』
本当なら名無しに慰めてほしいかった。だけどしなかったのは傷つけたり、嫌われたりしたら考えると、思うように進めれなかった。
「…ごめん」
『私は、和也さんとシたい。初めては和也さんがいいんです。乱暴に扱われても構いません。だから』
とっさに和也は名無しの話を止めるようにキスをした。強引に舌を侵入させ、舌と舌をからませた。
突然の事に名無しは驚き、和也から身を離そうとするが、がっちりと後頭部を捕まれてるため無駄な抵抗と陥った。
程なくして和也は、リップ音をならし名無しから離れる。
「カカカッ!ビールの味がするぜ。酔っぱらってるのバレバレ」
そう言い名無しの様子を見るが、顔を紅く染め息も絶えたえだった。
「少し、頭冷やしなよ。水でもいれくるから」
俺はリビングに向かおうとしたが、名無しに腕を捕まれ阻止された。
『和也さん、』
「なに?」
『続き、して、ください。』
「なあ、そこまで言われるとさ、俺、もう我慢できねーンだけど?」
『お願いです』
哀願するように見てくる名無しを見ると、断られずただ黙ることしかできなかった。
「本当に、いいのか?」
『はい』
「後悔するなよ?」
『わかってます。和也さん、好きです。』
にっこりと笑う名無しを見ると、それが合図になり、また口付けを再開した