お金が欲しい。とりあえず、十万あれば今月がしのげる。ボーナスまであと五日だし大丈夫だろうと思っていた自分を呪いたい。
馬鹿親父が消費者金融から借りたお金を、私が返さないといけないらしい。しかも私名義で保証人になってるから尚更の事。
修理しようと思ってた家具やらずっと欲しかった香水も買えくなった。全てが水の泡。

「んで、それを俺に愚痴りにきたわけ?」

『まあね、同僚にも愚痴るわけにはいかないもの』

もし噂にでもなったら、社内でいずらいし結婚も危うくなる。バレたりしたらと思うと背筋に寒気を感じた
それを振り払うように私は淹れたてのコーヒーを啜った。香ばしい香りが鼻を掠める。

「率直にいえよ。」

『何を?』

「俺に金を貸して欲しいってさ」

『じょーだん。友達にはあんまりお金借りたくないし』

私はミルクをとり、コーヒーにいれスプーンで混ぜる。

「俺が金持ちって知ってるんだろ?別にお前の事、嫌いじゃないし貸してやるよ」

『私をあんたの周りの女と一緒にしないでくれる?そもそも、ここの代金だって奢ってくれるアンタに引け目を感じてるし』

そう言い私は和也の目を見ながらコーヒーを飲んだ。

「じゃあさ、お前にとったら俺ってなんだよ?」

和也は不機嫌そうに尋ねる

『友達だよ。私もあんたも本当は孤独を感じてるんだ。私は周りから見ても人がいないからぼっちだってわかるけど、あんたは違うね。いつも人がいる。でもそいつらは和也が好きでいるわけじゃない。あんたの金や人脈をみてるだけ。和也もわかってるんでしょ?』

「いきなりぶっ飛んだ事言ってくるね。」

『でも、的は得てるでしょ?』

「カカカッ!お前があんまり友達がいない理由がわかった気がするぜ」

『理由なんて最初から知ってる癖に。反対に聞くけど、和也にとって私はなに?』






   




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