「なあ、結局はみんなお金ってわけよ。わかった?」
昼下がりの喫茶店はまだまだ人が多く騒がしい。
だけど私にとってはそんなものは気ならない。
『そうだね。和也の言うとおりだと思うよ』
「お前がさ言ってた愛とか優しさも全部、金には負けるのさ!結局俺が言った通り、お前さんが愛した男に裏切られて騙されたんだ」
カカカッと嬉しそうに笑う和也と対象的に、私はこみ上げてくる物を必死で抑えた。
『私は、本当にあの人を愛してると思ってた。大切にしようと、支えようと頑張ってきた。』
俯いていた私は、顔を上げて和也と目を合わせた。
『誰かに裏切られても、騙されても、私はそんな事しない。』
私が強気にそういうと、奴は口に弧をかいて強めに口笛を吹いた。
「威勢いいねぇ。こりゃまたいい小説が書けそうだ。」