外ではどしゃ降りの雨が降り、風が冷たい空気を部屋に運ぶ。
名無しは、身震いをしながら毛布にくるまり、そこらへんにあった雑誌をめくる。
一ページ、二ページと…単調にめくった
だがどの内容も、彼女にとってどうでもいい事ばかりで心の中のもどかしさを紛らわせてくれなかった


『早く、来てくれないかなあ…』


小さくため息をはき、ガバッと仰向けになる。
目を閉じて寝ようとするが、脳内にアカギの顔や表情、いるはずがないのに彼の香りまでもが感じて、名無しは興奮し、目が冴えてしまう。

彼女は、立ち上がると冷蔵庫からビールを取り出した。
勢いよく缶を空け、ぐっと飲む。
独特の苦味でしかめるが、我慢して飲み干す。
ふと冷蔵庫のカレンダーを見て、印をつけている日付を指でなぞった。

『アカギさんと三週間はしてない…』

その印とは、彼女がアカギと行為をした時につけていたものだ
もしも妊娠した時の為に記していただけで、他人に見せびらかすといった邪な意味はない

アカギの事を思いだした名無しは悶々として落ち着かなかった。

彼の髪や、肌に直に触れたい

女にだって、性欲はある。普段は建前で隠してるが心の奥底ではふつふつと溶岩のようにうずくまっているのだ
それが好きな人に対すると、噴火するように燃え上がる

『アカギさんに会いたい!キスしたい!えっちもしたいよおお!』

名無しは自身の欲望にたまらなくなり叫んだ。
すると、玄関のチャイムがなり彼女は驚く。


「名無し、俺だよ」


『アカギさんっ?!』


名無しは急いで玄関に向かい、胸を踊らせながらドアを空けた。
そこには今まで彼女の気持ちの中心だった愛しい男がいた。


「久しぶり」


『久しぶり…ってアカギさんびしょ濡れじゃん』


アカギは髪の上からつま先までずぶ濡れで、見てるこっちまで寒気を催した

「あいにく傘を持ち歩いてなくてね、あんたにお土産も買ってきたんだけど濡れて台無しだ」

ひょいとアカギは手さげの紙袋を持ち上げて言った。
だが紙袋なので水分を吸い取っており
重たそうだ


『お土産は有難いけど、アカギさんが風邪引いたら元も子もない!早く部屋に入って!』


「あらら、怒られちゃった」


『当然だよ!』

名無しはアカギの手を取り、部屋に入れた。雨で体温が奪われており、冷たく感じた。
その時、彼女はアカギに引っ張られバランスが崩れそうになるがアカギが抱き寄せたおかげで倒れなかった。
驚いた名無しは、アカギを見上げる。
ポタポタと雫が落ちる彼は妙に色っぽく感じた。

水も滴るいい男…ってやつか


「何、考えてるの?」


『アカギさんが、エロイなぁって』


「女でしょ、自重しなよ…」


『アカギさんの前でしか、こんな事言いわない』


「へえ…」


アカギは含み笑いをすると、名無しを床に押し倒した。
そして、彼女と口づけをし舌を入れる。卑猥な音が廊下に響く。
高揚した名無しは、顔を赤くしアカギを見つめる。


『私、ずっとアカギさんとしたくて、溜まってた』


「だから拒まなかったの?」


『廊下でするのは嫌だけど…今日だけですよ』


「あんたって意外とえっちなんだね」


『あらら、アカギさんに言われちゃった』


「人の真似するなよ」


アカギは名無しの下着をめくり、お腹をさすった。
彼女はびくりと震え、これからくる快楽に身を委ねた


   




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