*ムダに長いです。






久しぶりに私はアカギさんをお出掛けに誘ってみた。
断られるかと思ったけれど、素直に受け入れてくれたので驚きのある反面、とても嬉しかった。
私達はすぐに身支度をして家をでてスーパーに向かう。


「どこに行くの?」


『スーパーに行きましょう!今日は、特売日なんですよ』


「なるほど、俺は荷物持ちってわけか」


『ちがっ …そんなつもりで誘ってないです!』


「クククッ…冗談だよ」

『アカギさん、私をいじめないでください!』

赤い顔した名無しを見てアカギは意地悪そうに笑う。

それから他愛のないを話をしているうちに、目的地のスーパーに辿り着いた
大型スーパーなので、昼頃にも関わらず人が多い。
アカギの顔を見てみると、少し眉間に皺が寄っていたので、人混みが嫌いなんだと名無しは思った。


『アカギさんはフードコートで待ってますか?私一人でも買い物はできますし』


名無しは、アカギと一緒に買い物がしたいが彼に気を使った為そう言った。


「いや、いいよ。名無しは一緒に買い物したいんだろ」


『えっ!分かってたんですか?』


「やっぱりね」


『うっ…アカギさんの言う通りですけど…』


「じゃあ行こうか」


名無しは何か言いたそうにしていたが、アカギが食品売り場に向かったので慌てて追いかけていった。


買い物かごを乗せたカートを押しながら売り場を一緒に移動する。
特売日なので、野菜など大売り出しされており、どんな献立にしようか名無しは迷っていた。
そんな時、ふとアカギを見るとある一点を凝視していた。


『アカギさん、何か欲しいものあるんですか?』


名無しは不審に思い、アカギに尋ねてみた。彼の目線の先を辿ると、大量に積まれたスイカが並べてある。


『スイカ!もしかしてアカギさん、食べたいんですか?』


「いや…別に」


アカギの返事は素っ気なかったが、名無しには直感的に彼はスイカが食べたいんだなと思った。
なぜなら彼は普段興味のないものには見向きもしないが、スイカには関心を示していたからだ。


『まあ、季節の旬ですし買いましょうか』


私はひょいとスイカを買い物かごの中に入れた。
アカギさんからの目線が痛かったけど、気にせず買い物を続ける。



一通り買い物を終わり、二人はレジに向かう。
名無しが代金を払おうとした時、アカギが早々と支払いをした。
彼女はアカギに奢って貰う気はなかったので断ったが、彼に適当にあしらわれた。



大量に買った食材や生活用品をレジ袋に詰め、二人は帰路に就く。



「あんたって、特売とか値引きに弱いんだね」


アカギは重いレジ袋を持ち上げて、不服そうに言う。


『あはは…ごもっともです』


名無しが買ったものは多かった為レジ袋は四つにもある。
おかげで二人の手は塞がってしまった。
重量のある荷物は、キツイけれどアカギとの帰る道のりは楽しかったので苦には感じなかった。



夕食を終え、名無し、アカギの順番でお風呂に入る。
アカギがお風呂から出る頃合いに、彼女は今日買ったスイカを小さく切り分けていた。



「上がったよ」


『おっ!いいタイミングですね』


「何が?」


『スイカ切ってたんです。テーブルで待っててくださいね』


「…わかった」


切り終わったスイカを小皿にわけテーブルに運ぶ。
アカギさんは、濡れた髪をタオルで拭いながら待っていた。



『スイカ持ってきましたよ』


スイカが入った皿をテーブルに置いて、私も座った。
彼を見ると、まじまじとスイカを見つめている。
それが何だか私にとって可愛く思えてしまい、彼に見惚れてしまった。


「スイカ」


『へっ?』


「食べないの?」


『あぁ…食べましょうか!』


私はスイカに手に取り、口に運んだ。
彼も私を見るなりスイカを食べる。


やはり旬なだけあって、水々しく甘かった。
外出で疲れていた体に、スイカの糖分は身に沁みて美味しい。


『美味しいですね!』


「ああ、美味い…」



『今日、買い物着いて来てくれてありがとうございます。楽しかった』


「…そう」


私はかじったスイカに塩を振りまく。
不意にアカギさんの報告を見ると、私を見ていた。
塩が欲しいのだろうか。


『塩、かけたいんですか?』


「いや、ちがう」


『え?じゃあどうしたんですか』


「…名無し」


『はい?』


「また買い物行こうか」


『えっ?…はっはい!』


アカギさんにそう言われて、とても嬉しくなり舞い上がってしまった。
顔を触ってみると、熱く感じる。
多分真っ赤なんだろうなと私は思った。


『アカギさん』


「なに?」


『絶対、また行きましょうね』



私はそう言い、照れ隠しのためスイカにかじりつく。
少し塩をかけ過ぎたと後悔したけど、不思議と不味くは感じなかった。


   




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