BLCP
表裏一体なその関係
木吉が黒い・血表現ありなので注意
足を壊しプライドを壊し
絆を壊そうとし志を壊そうとし
壊した
壊せなかった
正反対に見えて結局同じの2人の話
「「大嫌いだよお前なんて」」
チームメートと歩く帰り道
あの試合から数日後
「なぁ木吉、そういえば花み「その名前を俺の前で出さないでくれないか」……あぁ」
ものすごく微妙な顔の日向。
そりゃそうだろーなー。
試合後に笑顔なんて向けて褒めてなんてやらかしたのにこれなんだもんなー。
でもさぁ、俺はマジであいつのこと嫌いなんだよな。
大嫌いだ。
何よりも、誰よりも。
もし世界中の誰もがあいつが好きでも俺だけはずっとずっとあいつが嫌いだ。
それだけは何よりもはっきりしてる。
「ぶっ殺してやりたいな」
「なにか言ったか?」
「いやなにも」
呟いた言葉は誰の耳にも届くことなく空気の中に溶けた。
ハタ、と足を止める。
日向と別れた後の道。
「あ」
ああ全く今日はツイてない。
スルーしようにも目が合ってしまった。
「……なんでこんなとこに居んだよ、木吉」
「こっちのセリフだ、花宮」
よりにもよって何故こいつと会ったんだ。
まだ紫原のがマシだった。
あいつも好きじゃないけど。
「……で?どういうことだよ」
「ここは俺の通学路だ。というかお前こそどういうことなんだ。霧崎第一ってかなり向こうの方だろ」
「本屋ハシゴしてたんだよ」
「チッ」
いや本当に最悪だ。
厄日だ。
「ついてくるなよ」
「テメェなんぞに会ったから帰ろうとしてんだろが」
あー、気分悪い。
やっぱり嫌いだなこいつ。
ラフプレーとか足の件とかそういうんじゃなくて、単純に虫が好かない。反りが合わない。生理的に無理。多分こいつがラフプレーを仕掛けなかったら俺がこいつに仕掛けてた。そんぐらいに嫌い。
(あ……)
なんでこんなことを思いついたのかは分からないけれど、絶好の嫌がらせがあるじゃないか。
「なあ花宮」
「んだよ」
ガブッと、唇に噛みついた。
無理やりこじ開けて、舌を侵入させて、蹂躙して、絡ませて、ガリッと花宮の舌を噛む。
ジワリ、血の味が口内に広がってマズい。
まぁ、でも嫌がらせになるならいいや。
さらに力を込める。
ドンッと突き飛ばされた。
「てめっ……なにすんだよ!」
「なにって、嫌がらせ」
「なっ……」
パクパクと、ただ口を動かす花宮に、優越感を覚えた。
「あっれ、もしかして初キス?」
「っ……そういうてめぇはどうなんだよ!」
「ああ、俺?まぁキスはハジメテだけど数えない。だってこれ、嫌がらせだから」
ニッコリと微笑んでやれば、悔しそうな舌打ちが聞こえた。
「あ、あと」
「なんだよ……っ!!!」
ガブリ、首筋に噛みついた。
「っ〜〜〜〜〜!!」
真っ赤になった花宮に突き飛ばされた。
(……?)
そのとき感じたなにか得体のしれない感情は気にしないことにして。
「これで勘違いされるな。お前のとこのスタメン、嫉妬深そうだしなー」
茶化したように笑ったら、今度は花宮が俺の首のホックを外しながら引き寄せて、唇に噛みついた。
侵入してくる舌。絡みついて、激痛がはしった。
「……くっそマズ」
そう言いながら流れるように俺の首筋に噛みついた。
「ふはっ、これでおあいこだな」
ニヤリと、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
ああ、やっぱり、ほんとうに。
何よりも、誰よりも。
絶対的に、生理的に、圧倒的に。
「「大嫌いだよ、お前なんて」」
そのまままたどちらからともなく嫌がらせのように唇を重ね合わせる。
なんでだろう。
なんで俺は抵抗しないんだろう。
なんでこいつは俺にすがるように首に腕を回すんだろう。
なんで俺はまるで恋人同士のようにこいつ腰に手を回し逃がさないように頭を押さえて抱きしめているんだろう。
俺たちは誰かに見られるかもしれない往来で、なにをやっているんだろう。
まぁ理由はとっくに分かっているけど。
きっと明日は首の痕について根掘り葉掘り聞かれるだろうから、意味深な笑顔で答えてやろうかな。
表裏一体なその関係
(大嫌いだ(あいしてる)よお前なんて)
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