葉山小太郎
過した時間は一緒
教室に入り目に入った光景にため息をひとつ。
窓側の一番後ろ、私の席。そこに座って前の席の男子と話をするバカ。
「葉山くん、どいて」
「あ、苗字さんごめん!おはよう」
「…おはよう」
人間なんてつまらなくてイヤな生き物だと思う。特に女子は。
自分の好きな人が自分ではなく、グループの1人が好きだと分かると明日にはもう仲間外れにしてみたり。
そして群れたがる。
トイレに行くと言えば、私も、とついて行く。そしてトイレで長話。
正直言って、ジャマ。てか臭くないか?
ま、その中に入りたいなんて思いはイチミリも持ち合わせていない訳で。
そもそも群れる事が嫌いなもので、当然クラスでも1人。
友達がいない訳でもない。深く付き合わないだけである。
そんな私に飽きずに話掛けてくる男子が、葉山小太郎。
1年で同じクラスになって隣の席になったのをいい事にやたら話掛けてくる。クラスのムードメーカー。悪く言えばお調子者。男女問わず仲良く出来る。また彼はバスケ部でモテる。
マネージャーにならないかと誘われ断ったにも関わらず、半ば強引にマネージャーをやらされ早1年。
そしてまた同じクラスになった。
相変わらず私に話掛けてくる。
「葉山くん」
「ん?何?」
「あんたは何で私に話掛けてくるの?」
「好きだから」
「え、ちょ…何サラッと言ってんの!?」
「あれ嫌だった?」
「……イヤじゃない」
「ならいいじゃん」
教室のド真ん中で言ったからいつの間にかクラス公認のカップルとなってしまったけど、それもまぁいいか、と思う。
彼のおかげで少し視野が広がった。
彼のおかげで笑う回数も増えたから。
過ごした時間は一緒
今までもこれからも
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