花宮真
手にできなかったものもある





「そんな、ことない。」




これは、目の前にいる中学時代の旧友、花宮に言ったものだ。花宮は自らを嘲るような笑みを顔に張り付けながら私に言ったのだ。俺は、不完全な玩具だ。と。




「お前に何が分かる?」




花宮は、頑張ってた、よね?勉強は今はしなくてもいい点とれるらしいけど中1の頃は一生懸命してたし、そのおかげか、先生の期待もあったし、猫被ってたけど品行方正だったから、優等生だったし、あと、あとは…バスケ!!今も、だけど中学の時だって今に負けないくらい頑張ってた。
自分でも何を言いたいかわからなくなって、私がそこまで言うと花宮が未だ自嘲を浮かべながら言う。




「それでも、だよ。」




それでも。それでも彼らには届かない。
花宮を含めた5人の通称。無冠の五将。一番になれない、5人の指揮官たち。実力もある、リーダー性もある。そんな5人の共通点。学年が1つ下のキセキの世代と呼ばれる5人の才能に埋もれてしまったこと。キセキ達を天才と称するなら、無冠達は秀才だ。才能にはあふれている。が、キセキ達には到底及ばない。キセキの彼らのバスケットセンスはまさしく奇跡。凡人どころか秀才が真似ることさえ許されない。
花宮は、ほとんどの物を持っている。
頭脳、信頼、評価、リーダーシップ、上げていけばキリがない。


それでも、彼には手にできなかったものがある。



それは…






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