花宮真
バラバラの破片をかき集め



俺たちはまるで、欠陥品の玩具みたいだと誰かが言った。
誰か、とはいってもそれは俺たち5人のうちの誰かなのだが。


――ピースの足りないパズル
――音の鳴らないオルゴール
――片足のない人形


何かが足りない。なくてはならない何かが。そしてそれは、欲すれば欲する程に遠ざかっていく。しかし、求めなければ何も手に入らないこともまた事実。



ならどうする?――代役を立てればいい。



ピースの足りないパズルには、形の合う違うパズルのピースを。
音の鳴らないオルゴールには、代わりの音源を。
片足のない人形には、足の見えない服を着せればいい。




俺たちは、互いが互いを補いあっている。それは、人間性であったりバスケのスタイルであったり。



俺たちはまるで、バラバラのピースでできたパズルのようであり、バラバラの部品からできたオルゴールのようであり、バラバラの部位でできた人形のようだ。


見た目は歪でちゃんとした形を成していない。けれど、完全にダメなわけではない。だから欠陥品。


何もできず、全部が悪いのであれば諦めがつくかもしれないのに。なまじ出来てしまうから、どこかで願ってしまう。希望という、不確かなものに縋ろうとしてしまう。



俺たちは、"キセキの世代"という圧倒的な完成品の前に霞れ埋もれた欠陥品。店頭に並ぶ煌びやかな彼らを、薄暗い角っこで指を銜えて見つめるしかできない。



俺たちは、互いが互いを補いあっている。そうしなければ、1人で立つことも、完成されることもない。だからって、手を取り合って仲良くなんてこともしない。申し訳程度のプライドが、更に俺たちを惨めにしていく。



いっそ泣き叫んで狂ってしまおうかと、バスケなんて止めてしまおうかと、玲央が言っていた。誰も何も言わない。賛同も否定もしない。
分かっていたから。そんな事、出来ないと。知っていたから。そんな事したって、たいして誰も困らないと。



所詮、俺たちは欠陥品の寄せ集めでしかない。出来損ないがどうなろうと、あいつらも、周りも、さして気には留めない。



――ピースの足りないパズル
――音の鳴らないオルゴール
――片足のない人形



俺たちは欠陥品。完全になりきれなかった出来損ない。

そんな寄せ集めでできた俺たちが、あの完成品どもに勝つことができたらどんなに幸せか。


無理なことぐらい、当の昔に理解していて、それでも願わずにはいられないんだ。






手繰り寄せてできたもの

(それはあまりにも、)





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