メモログ 勝呂@
2011/10/02 23:20

志摩と悪魔堕ちした勝呂@


志摩はうっとりした表情を浮かべながら、勝呂の額に生えた角の付け根部分に指を這わす。ほんまに生えとるんですねえ。爪をたてればぐっと勝呂が顔をしかめたので、慌てて手を放しすんませんと跡の残った箇所を優しく擦った。お前、気持ち悪うないんか。勝呂の呆れた声に、とんでもないと志摩は噛みつく。気持ち悪いわけがない。そんなことを、志摩が思う筈がない。明陀に囚われず、明陀の為だけに生き、死ぬ運命から外れた勝呂。あり得ないと放り投げ、ただの願望だったそれが、志摩の目の前にある。
「その角にキスしたいぐらいや」
「あほか」
ほんまなのに。志摩の呟きに、だからやと勝呂は頭を叩く。




志摩と悪魔堕ち勝呂A


いくら悪魔堕ちしたと言っても、外見上、それは一見してわかるというものではないと、志摩は思う。一番厄介で目立つ角は勝呂の意思で収納可能で、尻尾は燐がしていたように腹に巻き付けているから人目に触れようがない、耳と牙だけはどうしようもないがそれこそまじまじと見られなければそう大きな違和感もない。(こうしてみると、なんや普段と変わらんなあ)そうやってぼんやりしていると何見とんねんと軽く頭を叩かれたが、それだってされて首が取れるわけでもない。痛ぁと大袈裟に振る舞えばあほかと呆れたように笑われた、その笑顔だって、とてもじゃないが悪魔に見えない。勝呂だ。自分の幼馴染みの、よく知っている、今までと何一つ変わらない、勝呂竜士だった。たまらなくなって、志摩は勝呂に抱きつくと怪訝気にこちらを睨む視線をへらりとかわし、小言を言うのだろう開かれた口を自分のでふさぐと舌を伸ばし、彼の牙に触る。そこでようやく安堵した。
勝呂だ。(俺だけの)




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