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2011/12/13 00:46





ガチの勝達。




実の息子に押し倒されたというのに、達磨の反応と言えば、どないしたん、と苦笑を浮かべる、それだけで。ぎりぎりと抑え込む両手には、大した抵抗はない。僧衣の襟に手を掛ける、その時ですら、達磨はただ息子を見つめることしかしなくて。竜士、と。名前を呼ぶ声はどこまでも優しく、そして、澄んでいた。だからこそわかる。戻るなら、きっと今だ。いや、今しかないのだろう。(やから)だからこそ。竜士はそっと、唇を寄せる。戻る気なんぞ更々ない。戻りたいとも思わない。逃げる道も、戻る道も全て切って、ここにいるのだ。堪忍なあ。触れ合う瞬間、そう呟いて、ようやく達磨は目を閉じた。諦めたのか、憐れんだのか、それとも受け入れたのか。竜士にはわからなかったし、わかりたいとも思わなかった。













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