狂気、肥大中

・行き当たりばったり。
・相変わらず駄文
・一応裏ではあります。R-15ほど、注意。




鯉が波紋を描くように、シーツには芸術的な皺が出来ていた。上ずる声がさらにシャンクスを煽る。海色の髪が白いシーツの上を幻想的に彩っている。

(…綺麗だな…)

自らの下でみじろぐバギーに止めどなく愛を注ぐ。時折漏れる声は小さくシャンクスを呼んでいて、より一層いとおしくさせた。口紅は落とされ、露になった唇にキスを重ねる。

「…ぅあ…シャン…クス、馬鹿野郎…」

最中でも罵るバギーに、シャンクスはキスを深くすることで黙らせた。そして「バギー」と小さく囁いて、絶頂に登りつく。引きつるような声を上げて、バギーはぐったりと意識を手放した。




「お前はホントに物好きな野郎だな。」

眼を覚ましたバギーは、シャンクスの片腕に抱かれながら、呆れた調子で息を溢した。四皇ともなれば女にも困らないはずだ。それでもバギーに会いにやってくるシャンクスに、多少なりとも疑問は持つ。

「おれはずっとバギーを愛してるからな。」
「…吐き気がするな。」

そうは言いつつも、バギーは安心した様子でシャンクスの腕に顔を埋めていた。クスクスと笑いながら、綺麗に一つに纏められた髪を指でとく。

「おれの愛はな、バギー。海より深く、紳士的で、猟奇的で、狂気的で。何より純粋な愛だ。」
「…言ってることと真逆だろ。」

ハデ馬鹿と頭をこづくと嬉しそうに笑う。そんなシャンクスの瞳を覗いても心の中は窺いしれなかった。じっと見つめるバギーに気づいたシャンクスは優しくキスをする。見る行為を中断されたバギーは、ばつが悪そうに顔をしかめた。

「おれがマトモな間は分からないだろうな。」
「…そうかよ、おれはもう寝るからな。」

そう言って背中を見せた。
シャンクスの内に内包する愛は、何よりもバギーを優先している。だがそれはバギーもそれに答えるからであって。バランスさえ崩れれば簡単に狂気に駆り立てるものなのだ。

恐ろしいほどにシャンクスからのベクトルは大きく、それを知らず知らずの内にバギーは警戒していた。子供のように純粋で、我が侭で、狂気的な愛。

「なぁ、バギー。おれはお前をずっと愛してるからな。」

優しく甘い台詞の裏に込められた烈情は、シャンクスの中で肥大を続けている。それを感じながら、バギーは鼻で笑った。




2009/12/03追記、修正




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