可愛いアイツの晴れ姿

・562話派生妄想小話
・大画面に歯抜けバギーが出た直後の赤髪海賊




「………ベン!!!!!!」

突然大声が船内に響き、何事かと呼ばれた副船長ベン・ベックマンは足早に声の主の元へ走った。船長室に入ると(よほどのことと思いノックはしなかった。)船長、シャンクスがテレビの画面に張り付いていた。

「……何やってるんだ?」
「遅ぇぞベン!!!!今すぐ録画しろ!!一刻を争う!!」

一体何が彼をそうさせるのかと隙間からテレビの画面を見やる。ド派手で歯の抜けた大きな赤っ鼻の男が画面いっぱいに映っている。

(ああ、なるほど。)

簡単に合点がいった。何故かエースの処刑場にいる、道化のバギーが電伝虫の一匹をくすねていたようだ。

「これでいいか。」
「最初の部分がないのは惜しいことをしたな…」

シャンクスはギリリと歯を噛みしめながら、尚も画面に張り付いていた。

シャンクスはバギーに所謂ゾッコンと言うもので、会う度にキスをせがんでいた。つい昨日もインペルダウンにバギーを助けに行くと聞かないので、船員全員で止めたところだった。ベン達としては脱獄してきたのを止める手間を省けたと喜ぶべきか、また定期的にバギーの船を探すはめになることを嘆くべきか。

「あぁ〜!こんな無防備なバギーを全世界の奴らが見てやがるなんて……!」

シャンクスは相変わらず画面越しのバギーに一方的な(船員はそう思っている)愛を送り続けている。あくまで受信を目的とするテレビに対しては、全く意味がないが。

(これはまた…)

録画ハードが擦りきれるまで見続けるであろうシャンクスを想像し、ベンは大きくため息を落とすのだった。




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