嗚呼、そこにあったのだ 自分と自分の想い人の関係は緩やかに平行線をたどっている。押し殺した愛の叫びはとっくの昔に枯れた。それでも想い続けている。見返りは変わらず冷ややかで。 「いい加減飽きた、離れろ。」 「おれは飽きてない。」 「お前の屁理屈はもう腹いっぱいなんだよ!」 蒼の愛しい人に相変わらず眼を惹かれる。その瞳に映る権利を得ていることさえ嬉しいのだ。貪欲な自分は抱き締めたまま離そうとしない。片腕だけでは足りない。振りほどくことが出来る中、この状況でいられるのは彼の優しさだった。 だから甘えてしまう。 期待を抱いてしまう。 いつか振り返ってくれるだろう自分の想いに。 「…バギー。おれのことがほんの少し。ほんの少しでいいんだ。」 「…言えよ。」 「好き、か?」 抱き締めた片腕からするりとほどけてゆく。向き直った彼は右手に自分の左手を絡めた。 「しゃあねえなご褒美だ、クソ赤髪。」 にっと笑って彼は肩口おさまる。身体が震え、掠れた声で愛が零れた。それを彼は“ああ”とだけ返して。見つめた瞳にキスを落とした。 別れのあの日。その日から今日、また始まる。きっと先は明るい。ああ、彼の想いも確かにあったのだ。 ******* 片思いだと思ったらそうでもなかったよ話。 途中で話が破綻してるのは重々理解しております(汗) |