嗚呼、そこにあったのだ

自分と自分の想い人の関係は緩やかに平行線をたどっている。押し殺した愛の叫びはとっくの昔に枯れた。それでも想い続けている。見返りは変わらず冷ややかで。

「いい加減飽きた、離れろ。」
「おれは飽きてない。」
「お前の屁理屈はもう腹いっぱいなんだよ!」

蒼の愛しい人に相変わらず眼を惹かれる。その瞳に映る権利を得ていることさえ嬉しいのだ。貪欲な自分は抱き締めたまま離そうとしない。片腕だけでは足りない。振りほどくことが出来る中、この状況でいられるのは彼の優しさだった。
だから甘えてしまう。
期待を抱いてしまう。
いつか振り返ってくれるだろう自分の想いに。

「…バギー。おれのことがほんの少し。ほんの少しでいいんだ。」
「…言えよ。」
「好き、か?」

抱き締めた片腕からするりとほどけてゆく。向き直った彼は右手に自分の左手を絡めた。

「しゃあねえなご褒美だ、クソ赤髪。」

にっと笑って彼は肩口おさまる。身体が震え、掠れた声で愛が零れた。それを彼は“ああ”とだけ返して。見つめた瞳にキスを落とした。

別れのあの日。その日から今日、また始まる。きっと先は明るい。ああ、彼の想いも確かにあったのだ。




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片思いだと思ったらそうでもなかったよ話。
途中で話が破綻してるのは重々理解しております(汗)




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