例えばですよ、先輩が、どこか遠くに行ってしまったとしましょう、そしてそこで異性の恋人を持つんです。そいつは先輩が好き好きって奴でかわいさは中の下の下、毎日メールや電話を欠かさず化粧も怠りません、下着なんかも毎日、何があるわけでもないのに上下揃えてデートの時は髪を巻いてくるんです。女ってのはどうしてそんな風に化けられるんですかね、僕知ってるんですよ、彼氏の前では媚びに媚びて家に帰れば暴言吐きまくる最低な種族だって。話を戻しますね、それで先輩の彼女の顔が僕に似ていたらどうしますか?褐色肌で、金髪で、とまではいかないまでも何だか目が似てるだとか、声が似てるだとか、身長が同じくらいだとか、そんな点で僕と似た女だったら、先輩はその女をどう思いますか。どうしますか。






そんなこと考えたことなかった。一思いに言いたいことを吐き出した後輩は、息も整えずに俺に回答を促す。まず俺に彼女が出来るなんて発想がすごい。そして彼女が後輩自身に似ていたらどうする、と言うのだ、滑稽であろう。その想像した容姿に何を期待しているのか。陳腐な脳では後輩の思考することなど推し量れるはずもなかった。だから

「んー…。多分、別れない」

と答えると、後輩がヒビの入った顔をした。


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