鳥の飛ばない空を見上げた。
「いつ見ても何もないのに、どうしてこんなところでずっと球を蹴っている」
ゆったりと聞こえた声はすぐ隣で草を毟っていた。
「お前の空も似たようなものだろう」
俺は突然の来訪者に驚いていた。頭の葉冠だって自作だ。ここで作った、故に俺はここで日々を過ごすことに決めた。つまらなくはなかった。時折別のチームを見かけては片っ端から倒していった。おかげで四つものキーパー技を持つ、いわば噂の男になったわけだ。こいつは北方からやって来たと言っていた。此処に何の用があるかと問えば、此処は唯の通過点だと言う。
「俺は、後輩を迎えに行くんだ」
日本縦断なんて御苦労様だ