俺はあいつが大嫌いだった。何度同じことを尋ねても、以前質問した時と全く同じ変わらない笑顔で、全く同じ答えを言うのであった。胸糞悪い、と言えたらどんなにいいか。父さんが(俺はあの人と血が繋がっている)、けんかしないでくださいね、なんて言わなければ、今頃俺はあいつの腹に足を入れ髪を鷲掴みそれを引っ張り泣きわめくあいつを渾身の力で蹴り飛ばしているだろう。殴って蹴って息もひゅーひゅーする時に言ったのだろう、「俺はお前が大嫌いだ気持ち悪いお前は死んでしまえ」。父さんが俺とあいつを連れて買い物に行くことも、父さんのあの言葉あってのこと、あいつが何か言うたびに俺はにこにこしてそれに答えてやる、気持ち悪いのは自分だ。あいつもにこにこ、俺とあいつを見る父さんもにこにこ。胸糞悪い。父さんは好きだがあいつは大嫌いだ。

「じゃあ取り込んでしまおう」

あいつの無垢な唇を堪能しまだ誰も入れたことのないそこに指を向かわせ感じているあいつの顔に唾をかける。光悦。あいつは目を見開いた。可笑。喘ぎ声と共に紡ぎ出される言葉は俺の起爆剤だった。

「きみは、おれがきらいだね」

不意にズボンのポケットで鳴る携帯の振動に厭らしいことを思いついてしまったのはこいつのせいだ、ああマナーモードも考えものだな。

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