134:ムギちゃん 11/20(土) 02:36
いよいよ明日バトフルオンリーですな
オフで赤丸さんと会うの楽しみ杉www
おれはニヤつく顔を押さえながら携帯を閉じた。
『BATTLE FRUITS NINE』(通称バトフル)は、そのトリッキーなキャラクターとストーリー性で大人からの支持も熱いヒーローアニメだ。
かくいうおれもそんなバトフルに心奪われたオタクの一人。
だがしかし、学校ではオタクだという事を隠しているため、こういったイベントに来る時はできる限り変装をする事にしている。
本日の変装アイテムは、顔の半分くらいあるだっさい黒ぶち眼鏡。
(たしかムギちゃんさんは、フルーツ5のコスをしてらっしゃるとか。)
ムギちゃんさんはバトフルオタ交流サイトで知り合い意気投合した方で、オフでお会いするのはこのイベントがはじめてだった。
まぁでもこんだけ人がいて、偶然会えるなんてそんな奇跡…
「あの〜…すいません。」
「はい?」
声を掛けられ振り返るとそこには本物と見紛うばかりのフルーツ5が。
「もしかして…赤丸さんですか?」
「そういうあなたは、ムギちゃんさんですか!?」
驚いて一歩飛び退くおれに、フルーツ5はにっこり微笑んだ。
「はい。赤丸さんメールに書いてあった通りの格好だったからすぐわかりましたよ!
リアルでははじめましてですね。」
「あ、はい!はじめまして。
つーか、ムギちゃんさんすごいっスね!完コスじゃないですか!!」
「いえいえ、そんな事ないですよ///ι」
いや、お世辞でもなんでもなく本当に似合ってらっしゃる!!
上から下まで見直してみると、その完成度の高い衣装もさる事ながら、5のフェロモン全開なところまでそっくり…
(Σって!はじめて会った人なのに何考えてんだおれ!?ι)
きっとこんな考えになるのは、さっき買った同人誌のせいに違いない!!
「そーいえば、今日の収獲はどうでしたか?」
そんなおれの脳内を知らないムギちゃんさんは、おれの手の中にある同人誌に目をやった。
「一応大手さんは押さえましたけど、たまたま絵が好みで即買いしたやつが腐女子向けで…ι」
「へぇ…まぁたまにありますよね」
ムギちゃんさんはおれから本を受け取ってパラパラと捲り始めた。
くしくもそれは、5が攻のBL物で…
(狙って買ったわけじゃねーのにめちゃくちゃ恥かしい////ι)
「でも結構面白いですね。バトフルは腐女子向けの方が多いですし。」
真っ赤になって棒立ちしていたおれを気にもせず、ムギちゃんさんは「ありがとうございます」と笑顔で本を返してきた。
おれはホッと溜息をつき、ネット上で感じた通り本当に良い人だと改めて確信した。
「よかったら少し会場出て休みませんか?ちょっと喉渇いちゃって」
「あ、はい!おれも一休みしたかったんで」
ムギちゃんさんの事もっと知りたいと思っていたおれは、この申し出を二つ返事で快諾した。
会場を出たフロアの自販機でジュースを選び、ムギちゃんさんの元に向かう。
遠目から見てもやっぱりムギちゃんさんの5はカッコいい。
おれが戻ると数人のカメコに囲まれていた。
「あ、すいません。ジュースありがとうございます。」
「いえいえ。それにしてもやっぱりすごいですね!!」
「いやぁ…ιちょっとここでもあまり休めないっぽいので、別の場所に移動してもいいですか?」
周りのカメコに謝りながら、ムギちゃんさんはおれの手を引いてズンズン歩いて行く。
そのさまを見た腐女子たちから黄色い悲鳴が上がったが、そんなもん気にしてられないくらいおれの心臓はうるさく鳴っていた。
「えっと、ここは?」
連れられて来たのは、よくある給湯室。
「大丈夫ですよ。ここなら誰も来ませんし、おれスタッフの手伝いもしてるんで使って怒られる事もないですから。」
「そうですか」
「それにしても…」
ムギちゃんさんの手がいきなりおれの眼鏡に伸びてきた。
「なんでこんなおっきい眼鏡してるんですか?」
「いや、実はおれ隠れオタなんで…変装しないと不安なんですι」
「じゃあこれダテなんですね?」
「Σえっ!ちょっ!!ι」
言うが早いか、ムギちゃんさんはおれの目から防具を奪い取った。
「やっぱり!思った通り、眼鏡してない方が可愛いですねv」
「かっかわいい!!??/////ι」
ちょっと待て。
誰も来ない密室に二人きり
眼鏡を取った方が可愛い発言
これぞまさしく…
「ねぇ、さっきの同人誌の内容、ふたりで再現してみません?」
(BL的展開ーーーーっっ!!!???ιι)
まさか、リアルにこんな事って有り得るのか!?
おれがパニクってる間にもムギちゃんさんの顔はどんどん近付いてきて…
って、…あれ?
さっきまで5の衣装の仮面で素顔までわからなかったけど
この顔、まさかっ!!
「待…っ!!」
静止を求めるおれの口はムギちゃんさんの口に塞がれ、その舌は言葉の途中で彼の舌に捕まってしまった。
「ん…はぁ…っ!////」
おれはムギちゃんさんのキスに流されそうになりながら、必死でその人の頭に手を伸した。
(ムギちゃんさんが、本当にアイツだったら…)
おれは5のトレードマークである金髪を鷲掴み、一気に地面に叩き落とした。
すると、その下にあるムギちゃんさんの本来の髪の毛が姿を現す。
その色は、おれの思った通りの…
赤
「…ってめ!!Σシャンクスかっ!!!」
ムギちゃんさんから顔を引き剥がし改めて確認する。
するとムギちゃんさんは自ら仮面を外し、ニタリと、それはそれはヒーローに似つかわしくない悪人のような笑顔を浮かべた。
「やっと気付いたのかよ、バギー。」
「なっ、なんで!!お前っ!!!」
「おれも隠れオタなんだよ。でもまさかお前もとはなぁ!」
シャンクスはおれの学校のクラスメイトで、スポーツも勉強も出来るネアカ少年。
オタクとは真逆な生き物と言ってもいい。
「お前!ネット使ってまで騙してたのか!?」
「いや、おれだってここで会ってはじめてお前だって知ったんだって」
シャンクスは楽しそうにクスクス笑っている。
確かに本名はおろかメールもサイトを通じてのやりとりだったから、相手がどんな人かは実際はじめて会った今日しか知り得ないんだけど。
「でもちょうどいいや。おれ元々お前の事好きだったから…」
「ΣΣはぁっ!?ι」
シャンクスはニコニコしながら再びおれに近付いてきた。
「お前、オタクだって学校でバレたくないんだろ?だったらおれの言う通りにしな」
「なっ!!ι」
シャンクスの腕はおれの腰を抱きそのまま壁に追いやる。
「さっきの同人誌貸せよ。お望み通り5の格好で再現してやるから」
「望んでねぇよっ!!ι」
「よく言うぜ。さっきおれが同人誌読んでた時、顔面真っ赤にしてたくせに」
(コイツ…!わかってて読んでたのか!!)
あの時、ネット上通りの良い人だったと思ってしまった自分をぶん殴りたい…
「ココだってこんなに反応してんじゃねーか」
「Σひっι」
パンツの上から前を撫でられ、おれは情けないくらい弱々しい悲鳴をあげてしまった。
「ちょっと待ってな…今直接触ってやるよ」
そう言うとシャンクスは、見せつけるように口でロンググローブを取った。
(同人誌で5がやってたのと同じ…////)
て!!ι頬染めるなおれっ!!!
頭の中でひとりコントを繰り広げている間に、シャンクスはおれのパンツのジッパーを下ろし素手で前を握りやがった。
「Σぎゃぁっ!!////」
「どうだ?人にやってもらうのは?」
「あっ!はっ!やだっ!!/////」
シャンクスに手淫を施されたおれ自身は、クチュクチュといやらしい音をたててそれに答えているよう。
恥ずかしさと悔しさでおれはキツく目を瞑った。
「すっげー…お前の汁でぐしょぐしょ…」
耳元で息混じりに言われ背中が震える。
「こんだけ濡れてたら潤滑剤になるな」
おれ自身が濡らしたシャンクスの指が、いよいよ他人に触られた事のない場所に触れる。
「Σばっ!!おま、マジかよ!!」
「うん。なー、本当にこんなつるっと入るもんなんかな?」
シャンクスが見せてきたのは5がフルーツ4に挿入しているページ。
「Σ無理無理無理無理!!!ι」
「慣らせば大丈夫だよなv4も気持ち良さそうだし」
「フィクションでしょ!?BLってフィクションでしょ!?ι」
シャンクの肩を掴み全力で抜けだそうと試みたが、流石はスポーツ万能少年!おれなんかの力じゃびくともしない。
おれの必死の抵抗も虚しく、シャンクスの指は無情にもおれの秘密の花園に侵入してきた。
「うっそ…だろ////ι」
シャンクスの指が中を探るように擦っているのがわかる。
はじめて体験するその動きはまるで生き物が自分の体に入り込んでしまったようで、その感覚に吐き気すら覚えてきた。
もうオタクだってバラされてもいい!
思いっ切り頭突きでもくらわせてこの場から逃げよう!!
そう思っていた矢先の出来事だった。
シャンクスの指先が奥の方を擦った瞬間。
「Σ!!ひゅあぁぁっ!!//////」
無意識に悲鳴を上げるくらいの衝撃。
ついに奴はみつけてしまったのだ…
「どうやらここみたいだな…前・立・腺v」
「ひゃっ!!あんっ!あぁっ!!」
「うわぁ〜…ホント気持ち良さそう…スゲーな」
みつけたポイントを何度も擦られ、その度に甘い声が口から漏れる。
味わったことのない強烈な快感が全身を襲う。
ぶっちゃけ気持ち良すぎて立っているのも困難なほどだ。
(ヤベぇ…このままじゃイっちまう////ι)
膝がガクガクと震え頭の中が真っ白になりかけた…
その時
「ムギちゃんさーん」
突然給湯室のドアが開きフルーツ4が顔をのぞかせた。
シャンクスは素早くおれの中から指を引き抜き、かばうようにおれの前に立ちマントを広げた。
そのおかげでおれは知らない人に股間を曝さずに済んだ。
「何?どうしたの?」
「集合撮るからってみんな探してますよ!」
「わかった。ウィッグ着け直したら行くよ。」
4のレイヤーさんはおれの存在などまったく疑問に持たなかったらしく「お願いしまーす」と言ってそのままドアを閉めた。
(死ぬかと思った…ι)
ひとつ大きく溜息をつき左胸に手をやると、おれの心臓はありえんくらいの速さでビートを刻んでいた。
「あーぁ…残念。最後までヤりたかったなぁ」
「………アホかι」
シャンクスは床に落とされたままだったウィッグを拾い上げてドアに向かう。
死ぬほどビックリしたけど4が入って来てくれたおかげでおれの貞操は守られた。
真のヒーローは4だな。うん。
「あ、そうだ!」
ドアの前で立ち止まりシャンクスが振り返った。
「さっきのレイヤーに衣装借りるから4のコスしろよ!
で、そのままリアル5×4成人指定やろう!!」
「誰がやるかぁっ!ハデアホがぁーーーっ!!」
シャンクスの顔面めがけて投げ付けた同人誌はドアにぶつかり虚しく落ちた。