いつまでも君と同じ景色を見ていたかった



シャンクスがおれ様の船に顔を出すのは、はじめての事ではない。
昔同じ船に乗っていたとはいえ、今は互いに船長という立場でもあるからそんなに頻繁にでもないが、何かと理由をつけてはおれの船に勝手に上がり込んできた。
最初こそ「赤髪だ!」と騒ぎたてたクルー達も、おれとシャンクスのやりとりを見て慣れたのか「バギー船長なら船長室です」なんて馬鹿丁寧に教えちまうくらいだった。
敵船の船長に自分のキャプテンの居場所をいとも簡単にバラすなんて、ハデにイカレてると思うが、それくらいあのアホシャンクスがおれの船に来るのは、ある意味恒例行事みたいになっていた。

「バギー船長!大変です!赤髪が乗り込んできました!!」

だから、クルーのこんな一言も「今更何言ってんだ?」てなもんだった。
最初はふざけてわざと大袈裟に言ってんのかとも思ったが、そいつの青ざめた表情が冗談ではない事を物語っている。

(あのアホ、今度は何しでかしやがったんだ?)

おれはとにかく状況をつかむため、船長室から甲板に出た。





甲板に出てみるとたしかにシャンクスが居た。
しかしその光景はあまりにもいつもと違っていた。
シャンクスの周りには、白目剥いたおれのクルー達が転がっている。
モージとカバジですら歯が立たなかったようで、シャンクスの足元で無残な姿になっていた。

(こいつ、覇気使いやがったなっ!?)

あまりの惨劇に呆然と立ち尽くしていると、おれに気が付いたシャンクスがドスドスと足音も煩くこちらに向かってきた。

否、こいつはおれの知ってるアホシャンクスじゃない。奴の血走った目を見て確信した。


こいつは


四皇赤髪のシャンクス




さっきおれを呼びに来たクルーがうしろでブッ倒れた音がしたが、おれの本能が「こいつから目を離したら殺られる」と、目を逸す事を許さない。

眼前に来た赤髪が右の拳を引くのを、おれは動けないまま黙って見ていた。

まるでスローモーションみたいに奴の右手が大きくなり、そこまできてやっとおれは状況を把握した。
と同時に、右頬が焼けるように熱くなり、おれの身体は先ほどまでいた船長室に吹っ飛んでいた。

ガタンッ!ダンッガガガッ!ドッ!!

室内の色々な物にぶつかりまくり、そのまま床に尻餅をついた。

「…ちっ」

口の中を切っちまったようで、不快な鉄の味が充満している。

奴との距離をとらないとヤバい
そう思って起き上がろうとしたら、すでに赤髪は目の前に迫っていて、おれの襟元を掴むと乱暴に自分の舌をおれの口に捩じ込んできた。

口の中の傷もお構いなしに、奴の舌は口内で暴れ回っている。

(ざけんじゃねぇ…っ!!)

おれは奴の舌を思いっきり噛んで、下っ腹を蹴りあげてやった。

ペッと唾を吐くと赤い液体が床に落ちる。

(一体なんだっつーんだ!?)

なんて考える暇も与えられず、今度は自分が奴の蹴りを腹にくらう番だった。

「が、はっ…!」

くらった衝撃で腹の中の物を戻しそうだ。

うずくまり奴の顔を見るが、殺気を帯びた目はまったく変わらない。

(このままじゃマジで殺られる。)

おれは悪魔の実の能力を使い、右手を机の上のナイフに向かって飛ばした。

しかし赤髪にいち早く気付かれてしまい、ナイフを掴む寸前の所で右手を捕らえられてしまった。

その隙におれは奴の死角になる左からパンチを繰り出したが、それを軽々とかわされ足をはらわれて、後頭部を床にしたたか打ち付けた。
そのままマウントを取った赤髪は、その片手でおれの首をグッと締め上げてきた。


「いいかげん諦めて、抵抗すんのなんかやめろ。
お前なんかなぁ、もう、おれと対等にやり合う事もできねぇんだよ。」

言いながらおれの首を押さえている赤髪の手はどんどんおれの皮膚に食い込んでくる。

(ちっ、くしょ…)

苦しさで目尻に涙が溜まってきた。


「うっ…ふっく…う…」

静かな室内に嗚咽だけが響く。




(つーか…)





「なんで言ってるテメェが泣いてんだよ…」

赤髪の涙だか鼻水だかわからないが、おれの頬にボタボタ落ちておれの中に染み込んでくる。

「なんっ、で…お前、こんなにっ、よわい…だよ…」

シャンクスはおれの肩に顔を埋めてガキみたいに泣いた。

(わけわかんねー…)

おれはシャンクスのテンプルに拳をくらわした。



end





意味不明(´A`)
とりあえず、全力でケンカ出来る相手がバギーだけだったシャンクスが、自分だけ四皇って呼ばれるようになって力の差ができて淋しい思いをしてればいいなぁって思いまして(爆)
ホントはもっとバギーをボコしたかったんですが自重(笑)





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