■ワンダーランド・ホスピタル
▽アイちゃんと塑良と風雅
 

「アイお前眼科医の癖に視力悪いのかよだっせー」
「風雅、」

言いすぎだよ、というとだってー、と風雅は唇を尖らせた。
というか風雅もコンタクトだよね。

「いいんですよ、よくオルディさんにも言われますし」

ふふふ、と笑うアイちゃん。なんか妹見たいで可愛いなーなんてちょっと思った。

「そう言えば塑良さんって医者目指してるんですよね」
「あっ、はい。まだなれるかわかんないし、何科にするか決めてないし…」
「塑良には無理じゃねー」
「風雅うるさい」

頭をべしりと叩く。人の夢を無理なんて簡単に言わないで欲しい。
俺様の美しい髪を!なんて言われたけど無視。
頭叩くと髪の毛活性化して生えがよくなるらしいよ。知らないけど。

「あの、わたし一応医者なので、何かわからないこととかあったら聞いて下さいね。相談にも乗りますし…」
「本当ですか!?」
「はい。わたしでよければですが…」
「いえいえありがとうございます!」

良かった。身近(でもないか。アイちゃんすんでんのフランスだし)な人に医者なんていなかったから助かる。アイちゃんなら話しやすいし。同年代くらいだし。

「わたし眼科なのでほかはよくわからないんですけど…」
「いえいえ、全然!むしろありがとうございます!」
「少しでもお力になれれば幸いです」
「わざわざありが」
「駄目だ駄目だ駄目だ!!!!!!」

突然叫び声が割り込んでくる。ずっと黙ってた風雅だ。凄い形相でアイちゃんを睨んでる。
アイちゃんがびびる。風雅、と言おうとすると、

「塑良は黙ってろ!」

怒られた。

「あんなー聞いてれば就職だの就職だのあんぱんだの就職だの…よくわかんねえよ!」

…あの、風雅。あんぱんなんて言ってない。しかも就職の話も…。
こいつ、人の話全然聞かないんだから。

「あのな!塑良は俺たちと一緒にいるんだよ!遠くになんて行かないんだよ!ずっとずっと兄弟で暮らすんだ!」

わかったか!と叫ぶ。は、はい…と弱い返事が聞こえた。
…あのー、誰も就職なんて話してないし、遠くに行くなんて話してないよ…。

「わかったならいいんだよ」

ふん、と元の形相に戻る。

「…風雅さん、塑良さんのこと大好きなんですね」

アイちゃんがくすっ、と笑う。

「ほほえましいですね、とても」

その言葉を聞くや否や、急に風雅の表情がへんな変化を始めた。強張り、緩み、にやけ、にっこり笑い、尻尾をふる犬のように
目を輝かせる。

「アイ!!!!!!!」
「はいぃい!!!!!!!!」

がしっ、とアイちゃんの手を風雅が握る。アイちゃんが後退りする。
あー出た。自分のことを誉めた人になつく風雅の癖。

「お前いい奴だな!!!!」

はーい出ました。お前いい奴だな。

「喜べ!こんど俺様の目を看てやっていいぞ!」
「えっ」
「喜べよ!」
「あ、ありがとうございます…」

ほらほら、アイちゃん困ってるよ。ほんと俺様なんだから風雅…。
でもまあいっか。仲良さそうだしふたり。
なんて楽天的に考えながら2人をみて俺は微笑んだ。

目は大事にしましょう
(これを機に目が良くなるといいね、風雅)

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テスト週間クオリティでなけてくる・゜・(つД`)・゜・
アイちゃんかわいいです。

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